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序文:記録としての2000年代
2000年代は、ドットコムバブルの崩壊から始まり、iPhone登場で幕を閉じた10年だった。前半は崩壊後の静かな再構築期で、Wikipedia・Facebook・YouTube・AWSといった「後の10年を作る種」が次々にまかれた。後半はWeb2.0という言葉が広まり、クラウドコンピューティングとスマートフォンという2つの柱が同時に立ち上がった。
📅 年間サマリー(世界と日本の代表的な出来事)
| 年 | 世界 | 日本 |
|---|---|---|
| 2000 | ドットコムバブル崩壊開始 | Yahoo! BB等によるADSLサービス開始 |
| 2001 | Wikipedia創設 | NTTドコモがFOMA(3G)開始、JR東日本がSuica導入 |
| 2002 | ブロードバンド普及が加速 | おサイフケータイ構想始動 |
| 2003 | Skype・MySpace創業 | 地上デジタル放送開始(三大都市圏) |
| 2004 | Facebook創設・Google上場 | mixi開設、Winny開発者逮捕 |
| 2005 | YouTube創設 | 個人情報保護法全面施行 |
| 2006 | Twitter創設・AWS S3/EC2開始 | ライブドア事件、Wii・PS3国内発売 |
| 2007 | iPhone発表・Android発表 | ニコニコ動画開設 |
| 2008 | リーマン・ショック、ビットコイン論文公開 | iPhone 3Gがソフトバンク独占で国内発売 |
| 2009 | Bitcoinネットワーク稼働開始 | Twitter利用者が国内でも急増 |
2000年代 前半(2000–2004年)
2000年
- 【世界】 ドットコムバブルの崩壊が始まった(3月、NASDAQ総合指数がピークから急落)。
- 【日本】 Yahoo! BBなどによるADSLサービスが開始、ブロードバンド普及が本格化した。
- 【技術史】 「Y2K問題(2000年問題)」が大きな混乱なく通過し、世界的なシステム総点検の機会になった。
2001年
- 【世界】 Jimmy WalesとLarry SangerによりWikipediaが創設された(1/15)。
- 【日本】 NTTドコモがFOMA(3Gサービス)を開始(10/1、世界初の3G商用サービス)。JR東日本がSuicaを導入(11/18)。
- 【技術史】 ドットコムバブル崩壊が深刻化し、多くのネット企業が破綻・統合した年でもあった。
2002年
- 【世界】 ブロードバンド普及が世界的に加速し、Webサービス(SOAP/XML)の標準化議論が進んだ。
- 【日本】 「おサイフケータイ」構想が始動し、携帯電話の多機能化が加速した。
- 【技術史】 オープンソースソフトウェアの企業利用が本格化し、Linuxのエンタープライズ採用が拡大した。
2003年
- 【世界】 Skypeが創業(8月、エストニアのエンジニアらによる)。MySpaceも創業し、SNS前夜の競争が始まった。
- 【日本】 地上デジタル放送が開始(12月、三大都市圏)。
- 【技術史】 Firefoxの前身であるPhoenixブラウザが公開され、ブラウザ戦争が新局面に入った。
2004年
- 【世界】 Mark ZuckerbergがFacebookを創設(2/4、ハーバード大学の寮内で)。Googleが上場(8/19、株価85ドル)。Firefox 1.0が正式リリース(11月)。
- 【日本】 笠原健治がmixiを開設(2月)。Winny開発者が著作権法違反幇助の容疑で逮捕された(5/10、京都府警)。
- 【技術史】 「Web 2.0」という言葉が普及し始め、ユーザー参加型サービスが台頭した。
2000年代 後半(2005–2009年)
2005年
- 【世界】 Chad Hurley・Steve Chen・Jawed KarimがYouTubeを創設(2/14)。
- 【日本】 個人情報保護法が全面施行(4月)、企業の情報管理体制整備が急務になった。
- 【技術史】 Web 2.0の概念整理が進み、Ajaxによるリッチな Webアプリケーションが普及した。
2006年
- 【世界】 Twitterが創設(3月、Jack Dorseyら)。AWSがS3(3/14)・EC2(8/25)の提供を開始し、クラウドコンピューティングの商業化が始まった。GoogleがYouTubeを16.5億ドルで買収(10/9)。
- 【日本】 ライブドア事件(1月に強制捜査、堀江貴文社長逮捕)で新興ネット企業への信頼が揺らいだ。任天堂Wii(12/2)・ソニーPS3(11/11)が国内発売され、次世代ゲーム機競争が激化した。
- 【技術史】 クラウドコンピューティングという概念が実サービスとして立ち上がった画期的な年。
2007年
- 【世界】 Steve JobsがiPhoneを発表(1/9、Macworld基調講演)、6月に米国発売。Googleが主導するOpen Handset AllianceがAndroidを発表(11月)。Amazonが初代Kindleを発売(11月)。
- 【日本】 ニコニコ動画が開設(12月)、動画×コメント文化が国内で独自に進化した。
- 【技術史】 スマートフォンの定義が「iPhone以降」で塗り替えられた転換点になった。
2008年
- 【世界】 世界金融危機(リーマン・ショック、9月)でIT投資にも急ブレーキがかかった。Android初号機HTC Dreamが米国で発売(10/22)。サトシ・ナカモト名義でビットコインの論文が公開された(10/31)。
- 【日本】 iPhone 3Gがソフトバンクモバイル独占で国内発売(7/11)、発売日には行列ができる話題になった。
- 【技術史】 分散型デジタル通貨の理論的基盤が初めて提示された年として記憶される。
2009年
- 【世界】 Bitcoinネットワークが稼働を開始(1月、ジェネシスブロックの採掘)。
- 【日本】 Twitter利用者が国内でも急増し、著名人・政治家の利用が話題になった。
- 【技術史】 クラウド・SNS・スマートフォンの3要素が出揃い、2010年代への土台が完成した。
IT史ウィンドウ(2000年代・一行まとめ)
- 2000年:ドットコムバブル崩壊が始まり、浮かれた期待が一度リセットされた。
- 2001年:Wikipediaと日本のFOMA・Suicaが、それぞれ別の方向から「常時接続・常時参照」の土台を作った。
- 2002年:ブロードバンドとおサイフケータイが日本の生活インフラを静かに変え始めた。
- 2003年:SkypeとMySpaceが、後のコミュニケーション・SNS時代の原型を示した。
- 2004年:Facebook・Google上場・mixiが同じ年に並び、Web2.0前夜の象徴になった。
- 2005年:YouTubeの登場が動画を「誰でも投稿できるもの」に変えた。
- 2006年:AWSの始動とライブドア事件が、信頼される基盤と失われた信頼を同時に示した。
- 2007年:iPhoneとAndroidが発表され、スマートフォン時代の開幕が告げられた。
- 2008年:金融危機とビットコイン論文が、既存システムへの不信と新しい代替案を同時に生んだ。
- 2009年:Bitcoin稼働とTwitter普及が、2010年代の主役2つの産声を上げた年。
結論
2000年代は「検索とSNSとスマホ」の三拍子が、情報の流通速度を根本から変えた10年だった。前半のドットコムバブル崩壊という痛みを経て、Wikipedia・Facebook・YouTube・AWSという「後の10年の骨格」がこの時期にすべて生まれている。そして2007年のiPhone登場と2008年のビットコイン論文が、通信とお金の両方で次の10年の伏線を張った。
シリーズ:IT史クロニクル
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以上です。
