「あれ、Cursorにも記憶させられる?」
Claude Codeをメインで使い始めて半年ほど。ある日、Cursorでも似たようなことができると知った。
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「ほぼ同じじゃん」と思ったのが間違いの始まりだった。
実際に両方を並行して使い込んでみると、記憶の仕組みがかなり違うことに気づく。特に「スキル」の扱いと「どこに何を書くか」が混乱した。
この記事では、整理した対応表と、今日実際にやった設定の話をまとめる。
問題の発端:ドキュメントを読み忘れるAI
複数のサービスを1つのリポジトリで管理している。
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それぞれに専用のドキュメントがある。
- ブログ →
GUIDELINES.md(記事の書き方・タグルール) - データ分析 →
SPEC.md(モデルのバージョンルール) - 動画メディア →
BRAND.md(ブランド方針)
問題は、AIがこれらを読み忘れることだった。
service-stock/ で作業しているのに、「あ、SPEC.md のバージョンルール確認してなかった」となる。v1〜v3は変更禁止なのに、うっかり既存バージョンを触りそうになったこともある。
Claude Codeなら /memory で対処できる。では Cursor は?
Claude Code の「記憶」の仕組み
Claude Code には4つの記憶レイヤーがある。
1. CLAUDE.md(ルールファイル)
セッション開始時に毎回読み込まれる指示書。置き場所によってスコープが変わる。
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さらに .claude/rules/*.md にトピック別で分割できる。paths: フロントマターを付けると、該当ファイルを開いたときだけ読まれる。
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2. スキル(.claude/skills/)
SKILL.md を置くと /skill-name で手動呼び出し、または description を元に AI が自動判断して読み込む。旧 .claude/commands/ もスキルに統合された。
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3. Auto memory(AI が自動で書くメモ)
Claude Code 独自の機能。セッション中に学んだことを Claude 自身が ~/.claude/projects/<project>/memory/MEMORY.md に書き込む。次回セッションから自動的に読み込まれる。
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Cursor にはこれに相当する機能はない。
4. /memory コマンド(記憶の確認・管理)
/memory を実行すると、現在セッションで読み込まれている CLAUDE.md・rules ファイル・auto memory の一覧が表示される。ファイルを選ぶとエディタで開ける。
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Cursor の「記憶」の仕組み
Cursor は Claude Code とほぼ同じ概念を持つが、設定の粒度と適用タイミングの制御方法が違う。
1. .cursor/rules/*.mdc(ルールファイル)
.cursor/rules/ に置く .mdc ファイル。フロントマターで適用タイミングを制御する。
alwaysApply: true — 常時適用
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プロジェクト横断のルール(コミット規則・デプロイ制御など)はここに書く。
globs — 特定パスに紐づけ
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service-stock/ のファイルを開いているときだけ読まれる。
alwaysApplyもglobsも指定しないと一貫して読み込まれない。どちらかを必ず設定すること。
2. .cursor/skills/SKILL.md(スキルファイル)
Claude Code のスキルと同じ Agent Skills オープン標準。description を元に AI が自動判断、または /skill-name で手動呼び出し。
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Cursor は .claude/skills/・.agents/skills/・.codex/skills/ も読むため、他ツール向けに書いたスキルがそのまま使える。
3. ~/.cursor/rules/(グローバルルール)
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Claude Code の ~/.claude/CLAUDE.md に相当する。
対応表:Claude Code ↔ Cursor(公式ドキュメント準拠)
| Claude Code | Cursor | 説明 |
|---|---|---|
./CLAUDE.md(プロジェクト) | .cursor/rules/*.mdc(alwaysApply: true) | 常時読まれるプロジェクトルール |
~/.claude/CLAUDE.md(ユーザー) | ~/.cursor/rules/*.mdc | 全プロジェクト共通ルール |
.claude/rules/*.md(paths: なし) | .cursor/rules/*.mdc(alwaysApply: true) | 起動時に常時読み込み |
.claude/rules/*.md(paths: あり) | .cursor/rules/*.mdc(globs: "pattern") | 特定ファイルを開いたときのみ読み込み |
CLAUDE.local.md(個人・git管理外) | .gitignore 除外した .mdc ファイルで代用 | 個人設定・チームに共有しない |
.claude/skills/<name>/SKILL.md | .cursor/skills/<name>/SKILL.md | description で自動判断 or /name で手動呼び出し |
~/.claude/skills/<name>/SKILL.md | ~/.cursor/skills/<name>/SKILL.md | 個人スキル(全プロジェクト共通) |
Auto memory(~/.claude/projects/*/memory/) | なし | Claude が自動で書く記憶(Cursor に相当機能なし) |
/memory(記憶の確認・管理コマンド) | なし(ルールファイルを直接編集) | 読み込み中ファイルの確認・編集 |
--add-dir フラグ(ファイルアクセス拡張) | @ファイル 参照 | セッション中のコンテキスト追加(記憶とは別概念) |
実際にやった:スキルを作って、すぐルールに移行した話
最初、「ドキュメント読み忘れ問題」を解決するためにスキルを作った。
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「service-stock/ の作業をします。ドキュメントを読んでから始めて」と一言添えると読んでくれる。動作はする。
でも、すぐ気づいた。これはスキルじゃなくてルールの仕事だ。
スキルは description で AI が「使うかどうか」を判断する。外れることがある。しかも確認したら、すでに同じ目的のルールが存在していた。
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ルールは globs: で指定したファイルを開いた瞬間に確実に読まれる。description の自動判断も、「忘れず一言添える」も不要。スキルを作ったときよりずっと確実だ。
結局、スキルは削除して、ルールに統一した。ブログサービス用のルールだけ欠けていたので追加した。
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これで3サービスすべてが globs: ルールでカバーされた。
学んだこと:「ドキュメントを読ませる」は制約であってワークフローではない。制約はルールに書く。
description の書き方が全て
Cursor のスキルで重要なのは description だ。
エージェントはdescription だけを毎回チェックして、「このスキルを使うべきか」を判断する。本文は判断後にはじめて読まれる。
だから description には「いつ使うか(When)」と「何をするか(What)」を具体的に書く必要がある。
悪い例:
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良い例:
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トリガーキーワードが多いほど自動判断の精度が上がる。
どちらが「確実」に記憶されるか
確実性はこの順番だと感じている。
確実性の序列(公式ドキュメント + 体感):
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Claude Code が Cursor より優れている点は Auto memory だ。Claude が自分で学習してメモを書いてくれるので、ユーザーが何もしなくても記憶が蓄積される。
一方 Cursor の優位点は ルールの細かい制御。alwaysApply と globs を使い分けることで、コンテキスト消費を最小限に抑えながら必要なルールだけ読ませられる。
重要なルールは alwaysApply: true に書き、手順書・コンテキスト読み込みはスキルに分ける——これが両ツール共通のベストプラクティスだと感じている。
まとめ
| Claude Code | Cursor | |
|---|---|---|
| 常時ルール | CLAUDE.md | .cursor/rules/ (alwaysApply: true) |
| パス指定ルール | .claude/rules/ (paths:) | .cursor/rules/ (globs:) |
| スキル(手動 or 自動) | .claude/skills/SKILL.md | .cursor/skills/SKILL.md |
| グローバルルール | ~/.claude/CLAUDE.md | ~/.cursor/rules/ |
| AI が書く記憶 | Auto memory(あり) | なし |
| ルール確認コマンド | /memory | なし(直接ファイル編集) |
| スキルの互換性 | Agent Skills 標準 | 同じ標準(.claude/skills/ も読む) |
両ツールの設計思想は近づいてきている。特にスキルは同じオープン標準に対応しているため、1つ書けば両方で動く。
Auto memory は Claude Code の強みだが、Cursor のルール制御の細かさも魅力だ。どちらを使うにしても「AIに何をどう記憶させるか」を意識して設計することが、作業効率に直結するようになってきていると感じる。
参考リンク:
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