パソコパソコだよ!今日も一緒に学んでいこう!
2023年12月27日、仕事納め後の帰省で大阪に立ち寄ったタイミングで、奈良まで日帰りしました。年末とはいえ平日。「人が少ないはず」という読みは見事に当たり、東大寺の大仏殿をほぼ貸し切りのような状態で巡ることができました。
出発:新幹線から富士山を眺めながら
東京を朝早く出発し、新幹線で西へ向かいました。車窓に富士山が姿を現したのは静岡付近。冬の澄んだ空気の中、雪をまとった富士山が青空に映えていました。
▲ 新幹線の車窓から望む冬の富士山。雪をまとった山頂が青空に映える
新幹線の車窓から。奈良への旅の幕開けにぴったりの光景
大阪で近鉄に乗り換えて、近鉄奈良駅へ。所要時間は約35分。大阪から奈良まで、こんなに近いとは意外でした。
到着してすぐ、鹿に迎えられる
近鉄奈良駅を出て歩くこと数分。奈良県庁付近で最初の鹿に出会いました。現代的な大きなビルの前で、鹿が草をはんでいる。この日常的すぎる光景が奈良らしい。
▲ コンクリートの近代的な奈良県庁ビル前の広場で草を食む鹿2頭
現代建築の前で草をはむ鹿。奈良では当たり前の風景
▲ ビルの壁際で並んで首を下げ草を食べる2頭の鹿。冬毛で黒みがかった体毛
2頭が並んで草を食べていた。冬毛で少しモコモコしている
奈良公園のあたりに約1,300頭もの鹿が暮らしているという。神聖な動物として大切にされており、天然記念物にも指定されている。
東大寺へ:参道の石碑と奈良公園の小川
東大寺の方向へ歩いていくと、参道沿いに石碑が立っていました。
▲ 木々に囲まれた参道脇に立つ細長い石碑。縦書きの漢字が刻まれている
参道に立つ石碑。東大寺の歴史の重さを感じる
参道脇には小さな川と庭園があり、その石畳のそばで鹿が一頭、静かに休んでいました。
▲ 奈良公園の石組みの小川沿いに広がる冬枯れの林。遠くに鹿の姿が見える
小川のほとりで休む鹿。人間を恐れる様子はまったくない
南大門:仁王像の迫力に圧倒される
東大寺の正門にあたる南大門は、高さ25.46メートルの巨大な門です。遠くから見てもその大きさがわかる。
▲ 東大寺南大門の全景。「大華厳寺」の扁額が掲げられた巨大な木造門と観光客、門前を歩く鹿
南大門。左右には仁王像、くぐるだけで異空間に引き込まれる感覚
▲ 南大門を見上げた視点。複雑に組み上げられた木造の斗栱(ときょう)と屋根瓦の細部
屋根の組み木細工の複雑さ。大仏様(天竺様)建築の特徴がよくわかる
門の左右に配置された仁王像(金剛力士像)は、高さ約8.4メートル。鎌倉時代に運慶・快慶ら仏師集団が制作した国宝です。金属の格子越しでも、その鬼気迫る表情は圧倒的。
▲ 金属格子越しに見える南大門の阿形仁王像。筋骨隆々とした大きな体躯と力強い表情
阿形(口を開けている方)の仁王像。筋肉の表現がリアルで、まるで今にも動き出しそう
▲ 南大門の吽形仁王像。木造の太い柱の間にパネルで展示された像の全身像
吽形(口を閉じている方)。角度を変えて眺めるたびに違う表情を見せる
東大寺ミュージアム:大仏の手のレプリカで実感するスケール
大仏殿の前にある東大寺ミュージアムにも立ち寄りました。
▲ 東大寺ミュージアムのガラス張りの正面玄関。瓦屋根と現代建築が融合した外観
東大寺ミュージアムの入口。境内を歩く途中に立ち寄れる
入口には大仏(廬舎那仏)の手のレプリカが展示されていました。原物の手は約2.5メートルといわれますが、こうして触れられる形で展示されると、そのスケールが身体感覚として伝わってきます。
▲ 東大寺ミュージアム前に展示された廬舎那仏の手のレプリカ2点。黒い金属製で、人の背丈を超える大きさ
大仏の手のレプリカ。この大きさが「全体」の一部に過ぎない事実
大仏殿:世界最大級の木造建築へ
東大寺ミュージアムを出て、いよいよ大仏殿へ向かいます。参道の奥に中門が見えてきました。
▲ 石畳の参道を歩く観光客。正面奥に東大寺の中門と大仏殿の屋根が見える
中門を通って大仏殿へ。この参道を歩くだけで気持ちが引き締まる
中門をくぐると、大仏殿の全体が目に飛び込んできます。幅57メートル、高さ48メートル。現在の建物は江戸時代に再建されたもので、「世界最大級の木造建築」という形容は誇張ではない。
▲ 大仏殿の正面外観。曇り空の下、広大な砂利の庭越しに見える世界最大級の木造建築
冬の穏やかな光の中に立つ大仏殿。圧倒的なスケール
▲ 大仏殿の正面に向かって歩く観光客の群れ。平日のためまばらで、境内をゆったり歩ける
平日の12月とあって人は少なめ。ゆっくり鑑賞できた
大仏殿内部:廬舎那仏と仏像群
入場料600円を払って大仏殿に入ると、内部の建築の複雑さにまず目が行きます。
▲ 大仏殿の外壁を見上げた視点。複雑に組まれた斗栱と、剥落した朱塗りが残る太い柱や板壁
天井の格子組みと朱塗りの柱。何百年もの歴史を刻んだ木の風格
そして正面に、廬舎那仏(大仏)。
▲ 大仏殿内部に安置された廬舎那仏の正面像。金の光背を背に右手を上げた坐像、高さ14.7メートル
高さ14.7メートルの廬舎那仏。写真では伝わりにくいが、見上げると首が痛くなるほどの大きさ
何度見ても、この大きさには慣れない。青緑色に変色した銅の表面と、穏やかな表情の対比が印象的です。
▲ 廬舎那仏の横側面。青緑色の銅の台座蓮弁と朱塗りの欄干、奥に金の光背が広がる
横から見た大仏。台座の蓮弁の大きさも見どころ
大仏の周囲には複数の仏像が安置されています。
▲ 大仏殿内に安置された虚空蔵菩薩像。精緻な金色の宝冠をいただき、正面を向いた坐像
虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)。金色に輝く精緻な冠が美しい
▲ 大仏殿の横から見た廬舎那仏の全身。右手を挙げた施無畏印の姿と、手前の朱色の欄干
大仏の頭部。螺髪(らほつ)の一粒一粒の大きさは22センチ以上ある
四天王像も迫力があります。
▲ 大仏殿に立つ広目天像。甲冑をまとい毛筆と巻物を持つ木造の武神像、台座に「廣目」の札
広目天(こうもくてん)。甲冑をまとった武神の表情は荘厳
仏像の頭部だけをかたどった像も展示されていました。大仏殿の中に、様々な時代と様式の像が共存している。
▲ 大仏殿の多聞天像。金の冠をいただき鉾を持つ白い彩色の武神像。足元に「多聞」の札
多聞天(たもんてん)。右手に宝塔、左手に鉾を持つ。札に「多聞」と書かれている
▲ 大仏殿内の如意輪観音像。金色に輝く大きな坐像で、手前に燈籠と供花が並ぶ
如意輪観音(にょいりんかんのん)。複数の腕を持つ金色の像
そして、訪問者が体の痛いところを撫でると治ると言われる「ビンズル尊者」の像。
▲ 椅子に腰かけたビンズル尊者像。赤い布をまとった黒光りする木像で、長年触られて磨耗した表面
ビンズル尊者。赤いよだれかけをつけた黒光りする木像。長年にわたり触られ続けてきたためか、像全体が磨耗して黒ずんでいる。私も肩を撫でてみた
大仏殿内の模型:歴史の変遷を一望する
大仏殿の中には、各時代の建物の模型も展示されています。
▲ 大仏殿内に展示された奈良時代の東大寺境内全体模型。左右に七重塔が立つ壮大な伽藍配置
東大寺境内の模型。かつては東西に七重塔が立っていたことがわかる
▲ 大仏殿鎌倉期再建(約800年前)の1/50縮尺模型。現在より間口が広く均整のとれた形
大仏殿鎌倉期再建(約800年前)の1/50模型。現在より大きく、均整のとれた形だったことがわかる
▲ 大仏殿江戸期再建時の縮尺模型。現在の大仏殿と同じ形で、鎌倉期より幅が狭くなった構造
江戸期再建の模型。現在の大仏殿はこの時代のもの。鎌倉期より間口が狭くなっている
奈良時代の創建以来、焼き討ちや火災で幾度も失われ、その度に再建されてきた東大寺。模型を見比べるだけで、1,200年以上の歴史が立体的に理解できる。
回廊の現代アートと春日大社エリアへ
大仏殿の外、回廊の下に赤い球体の現代アートが展示されていました。
▲ 東大寺の朱塗り回廊の中に展示された赤い鉄骨製の球体オブジェ。古代建築と現代アートの対比
朱塗りの回廊の中に置かれた幾何学的な球体。古代と現代のコントラストが面白い
東大寺を出て、春日大社の方向へ足を延ばしました。
▲ 春日大社方面への朱色の大鳥居。「平向山神社」と刻まれた石柱の横に観光客が立つ
朱色の大きな鳥居。鳥居の奥に続く参道に、ここでも鹿の姿があった
▲ 夕暮れ前の光に染まる朱塗りの社殿の門。両側に石灯籠が並び、空の色が変わり始めている
石灯篭が並ぶ社殿の門。夕暮れが近づき、空の色が変わり始めていた
二月堂へ:石段を登ると夕日の絶景が待っていた
春日大社エリアから東大寺の二月堂へ向かいました。山道の途中で小さな神社を見つけます。
▲ 山道の石段脇に佇む小さな朱色の稲荷社。鳥居と小祠が木々の夕日の中に浮かぶ
山道の脇にひっそりと佇む小社。誰も立ち止まらない場所に、確かに祀られているものがある
二月堂への細い砂利道を登っていきます。
▲ 二月堂へ続く細い砂利道の参道。枯れ葉に覆われた山の斜面を登っていく静かな道
二月堂への山道。木々の間を抜けていく静かな参道
坂を登り切ると、木造の二月堂が目の前に現れます。
▲ 石段の上に立つ二月堂の全景。懸造り(かけづくり)の舞台と回廊が夕暮れ前の空に映える
夕暮れ前の光の中に立つ二月堂。毎年3月に「お水取り」が行われる舞台が見える
夕暮れ時の街並みを歩き、寺院の門を抜けていきます。
▲ 石畳の道に土塀と石塀が続く奈良の路地。空がオレンジ色に染まり始めた夕暮れ時
白壁と石畳の路地。夕焼けに染まり始めた空が美しかった
▲ 奈良の寺院の石畳の角道と黒い木造の門。反り上がった鬼瓦と土塀が黄昏時の空に映える
鬼瓦の細工が見事な寺院の門。日が暮れる前にもう少し見て回りたかった
そして二月堂の舞台に立つと——奈良市街が一望できる場所で、太陽が山の向こうに沈んでいくところでした。
▲ 二月堂の舞台から眺めるオレンジ色に燃える夕日。奈良市街と山のシルエット、撮影する観光客の後ろ姿
二月堂の舞台から見た夕日。オレンジに燃える空と奈良の街並み、遠くの山のシルエット。この一枚を撮るためだけに奈良に来る価値がある
周囲にいた数人の観光客も、みなスマホや一眼レフを向けて撮影していました。誰も言葉を発さず、ただその景色を見つめていた。冬の奈良が最高だと思った瞬間でした。
ならまちの街並みで一日の締めくくり
二月堂から下りて、ならまちへ向かいました。日が完全に暮れると、町家の建物がまた違う表情を見せます。
▲ ならまちの伝統的な町家の外観。格子戸と白壁、瓦屋根の上に小さな仏像が乗る愛らしい意匠
ならまちの伝統的な町家建築。屋根の鬼瓦の上に小さな仏像が乗っているのが愛らしい
格子戸と瓦屋根が続く路地を歩きながら、一日の記憶を反芻していました。大仏の圧倒的なスケール、二月堂からの夕日、どこを向いても現れる鹿。奈良は何度来ても発見がある場所です。
奈良冬の旅:振り返って
この日の行程を振り返ると:
- 東大寺南大門:仁王像の迫力。鎌倉時代のリアリズム
- 東大寺ミュージアム:大仏の手のレプリカで実感するスケール
- 大仏殿:廬舎那仏と四天王像(広目天・多聞天)・虚空蔵菩薩・如意輪観音・ビンズル尊者
- 春日大社エリア:鳥居と石灯篭の風景
- 二月堂:石段を登った先の夕日のパノラマ
- ならまち:夕暮れ後の町家建築
平日の12月というタイミングが功を奏して、大仏殿の中を人ごみなく歩けました。奈良を日帰りするなら、混雑を避けた平日がおすすめです。
→ 奈良の観光情報はガイド記事もどうぞ: 奈良日帰り観光完全ガイド(アクセス・費用・コース)
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